ななちゃんのプランター
ななちゃん
ナッキィはカブの小さな妖精、カブのある所ならどこでも直ぐに行く事が出来ます。野菜の妖精たちはオーガニックで愛情たっぷりに育てられた野菜の畑にいるのが大好きです。ナッキィも仲間たちと多くの時間をそこで過ごします。
でも、時々は色んな場所に行って、野菜たちにエールを送ります。どんなカブでもナッキィにとっては大切なのです。
ある時、都会のマンションのベランダにある、プランターに植えられた小さなカブの所に 初めて行きました。そこには可愛いラディッシュの妖精、リーリがいました。
「やあ 君はよくここに来るの?」
「ええ ほとんど毎日来るの」
「珍しいね、畑よりプランターの方が好きなの?」
「そうじゃないけど、ここに住んでるななちゃんがとってもかわいいの。
もうすぐ来るわ」
しばらくすると、三歳ぐらいの女の子が、小さなゾウのじょうろを持ってやって来ました。
「みんな 元気ですか? 大きくなあれ~ 大きくなあれ~ 」
と言いながらプランターにお水をあげました。
「あっ ちょっと昨日より大きくなってる~ ママァ~みて~ 」
と言いながらお母さんを呼びに行きました。
「ねっ すんごくかわいいでしょ?」
とリーリが嬉しそうに振り向きました。
「うん ぼくもなるべく来るようにするよ。願いかなえてあげたいよね。」
ナッキィはリーリの気持ちが良く分かりました。
ベランダ
ナッキィはそれ以来、友達も誘って、よくななちゃんのベランダに行くようになりました。みんなななちゃんがすぐ大好きになりました。
行く度に、ななちゃんのゾウのじょうろの水を浴びながら、ななちゃんと一緒にカブたちにエネルギーと愛情を送ります。横ではリーリが踊りながら、ラディッシュに愛情をたっぷり送っています。たくさんの仲間が来てくれるようになりとっても賑やかになりました。
「ねえママ みんなとっても元気で楽しそうだね」
とななちゃんは、お母さんに嬉しそうに話しています。なんとなく、みんなの事を感じてるのかも知れません。
妖精たちの贈り物
ある日、リーリが慌てて、ナッキィのいる畑にやって来ました。
「ななちゃんが風邪を引いてしんどそうなの」
「えっ あんなに元気そうだったのに…心配だね」
「私たちに何かできないかしら?」
「でも僕たちは人間を元気にすることは出来ないよ。残念だけど・・・」
「でも、もしかしてラディッシュやカブが大きくなったら、元気になるかもしれないわ。」
「そうだね、みんな誘って行ってみよう。」
さっそく、ななちゃんのプランターの所に、たくさんの仲間が集まって
くれました。
いつもはみんな思い思い動くのですが、今日はみんなで輪になって
踊りました。
ぐるぐるぐるぐるぐる、ぐるぐるぐるぐる、
みんなの思いが重なって、すごいスピードで回りだしました。
すると、一番小さかった葉っぱがどんどん大きくなって来ました。みんなそれを見て、また頑張って、もっと早く回りました。
すると、なんと、まあるいピンクの小さなカブが出来たのです。
ななちゃんの笑顔
つやつやの小さな可愛いカブに、早くななちゃんに気付いてもらいたくて、みんな飛び跳ねたり、ななちゃんに思いを送ったり、それぞれ祈りました。
すると、ななちゃんは重い足取りでしたが、ベッドから出てきました。
「ちゃんと寝てないと、直らないわよ。」
とお母さんはいいましたが、
「うん、ちょっとだけ」
と言って、プランターを見に来ました。ななちゃんはすぐに目を輝かせて
「ママ~ 見て~ ピンクのカブが出来てる~~ かわいい~」
と大きな声で言いながら、飛び跳ねました。
「大丈夫なの?」
と言いながらお母さんは慌ててこちらに来ました。
プランターを見ると
「まあ ほんと可愛いわね~ ラディッシュとカブが混じっちゃったのかしら・・・ もういいでしょ? ベッドに戻りましょ。」
「でも、もう元気になっちゃったよ」
お母さんは、ななちゃんのおでこに手を当てながら
「そうね、顔色良くなったわね。お熱も無いみたいだし、じゃあお昼ご飯までもう少しだけ寝てなさい。早く治ってよかったわね。」
「は~い」
とななちゃんは、いつもの可愛い笑顔でプランターに手を振ってベッドに戻りました。
ばんざい
ナッキィやリーリたちは、元気になったななちゃんに、手を思いっきり振り返しました。みんな大喜びで、ハグしたり、ハイタッチしたり、踊り出したり・・するとまた、ピンクのカブが少し大きくなりました。
次の日からまた、ななちゃんは
「大きくなあれ~ 大きくなあれ~ 」
と言いながら、ゾウさんのじょうろでお水をあげました。
みんなは、ななちゃんのかわいいシャワーの下で、嬉しそうに踊りながら、野菜たちに元気を送っています。
ピンクのカブはつやつや、ぷりぷり、もうすぐ食べられそうです。
おしまい
読んでくれてありがとう