ある日、いつものようにおばあちゃんが、上を見上げながら僕に話しかけてきました。
「ぷうりー 今日も来てくれたんだね~くるみおいしいかい?」
その時、僕はうっかりくるみを落としてしまいました。
おばあちゃんは拾って、くるみを差し出してくれたけど、僕はそのまま逃げてしまいました。
次の日くるみの木の下に小さな籠があって、中にくるみの匂いのするおいしそうなクッキーが入ってました。
回りを見回すと誰もいないので、ちょっと食べてみると,とっても美味しかったので夢中になりました。
食べ終わるとおばあちゃんが出て来たので慌てて木の上に上がりました。
その時籠の中に入った,しっぽについていた葉っぱをおばあちゃんはなぜか嬉しそうにこっちに向けて振っています。
「ありがとうね~ぷうりー」
数日後、僕はまたクッキーが食べてくなって、下に置いたままになっていた籠にくるみを入れてみました。
次の日、籠には、またクッキーが入っていました。
全部食べて、籠に赤い葉っぱと黄色い葉っぱを入れて木の上から見ていると、おばあちゃんはまたとっても嬉しそうに葉の軸を持ってくりくりしながら太陽にかざしました。
赤いプレゼント
すごく寒くなったある日、籠の中には赤い毛糸で編んだものが入ってて、僕はそれを巣に持ち帰りました。
寝床にひくと暖かくて気持ち良くてちょっとだけおばあちゃんの匂いがしました。
次の日おばあちゃんは僕を見て不思議そうに言いました。
「おや、ぷうりー ベスト着てないんだね~、どうしたんだい?」
と言いながら木の回りを捜していました。
その次の日、おばあちゃんはまた赤いベストを籠に入れてくれました.そして籠の前には僕に似た小さな人形があって赤いベストを着ていました。
僕はさっそくそのベストを着てみました。
そのベストもやっぱりあったかくて気持ち良くっておばあちゃんの匂いがしました。
そっとドアを開けながら、くるみの木の方を見たおばあちゃんは、僕を見つけ嬉しそうにやって来ました。
木を見上げながら
「ありがとう~ 分かってくれたんだね~あったかいかい?」
と言って手をたたきました。
そしてリスのぬいぐるみをポストの上に置きました。
おばあちゃんが、キノコを取りながら、僕の巣の近くにやって来ました。
僕が上から覗いていると、急にこっちを見上げました。
僕は慌てて巣の中に入ったけど、赤い毛糸が引っかかって巣から出ていました。
おばあちゃんは僕の巣の方をじっと見ながら何か考えていましたが、そのまま帰りました。
その次の次の日、おばあちゃんはまた僕の巣のある木の下に来て、小さな布団を置きました。
「巣に入るといいんだけどねえ、ぷうりー いるかい? これお布団なんだけどね、ベストよりあったかいから使っておくれ。」
と上を見上げながらいつもより少し大きな声で言いました。
僕はほんのちょっとだけ顔を出してみたけどまたすぐ引っ込みました。
おばあちゃんが行ったので、下に降りて布団の上に乗ってみるととても柔らかくて寝心地が良さそうでした。
僕はさっそく口にくわえて巣に運びました。
ちょとばかし大変だったけど巣にぴったり収まりました。
その日は早くからぐっすり眠って、おばあちゃんと一緒に寝ている夢を見ました。
その日はおばあちゃんの姿が見えなかったので、気になっていた、おばあさんがポストの上に置いた僕の人形を見に行きました。
かじったり、引っかいたりして遊んでいると、おばあさんが窓から覗いているのに気づいて、あわててポストの中に隠れました。
しばらくして、そっと見てみるといなかったので、ほっとしていつものくるみの木に戻りました。
次の日ポストの上には、僕の人形とくるみのクッキーの入った小さな籠が置いてありました。
クッキーを食べ終わって人形と遊んでいると、おばあちゃんが覗いているのが見えたので、またポストに隠れました。
するとポストの中には巣の中にあるのと同じ布団が入れてありました。僕はそのままポストの中で人形と遊んでいると、いつの間にか少し眠ってしまったみたいです。
次の日ポストには張り紙がありました。
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郵便屋さんへ
このポストはリスの遊び場になっています
郵便物は下の箱に入れてください
よろしくお願いします
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ごまのクッキー
僕は冬の食糧の隠し場所の一つをポストにすることにしました。
どんぐりや松ぼっくりを少しづつ運びました。
僕は段々とポストで遊ぶ時間が長くなりました。
おばあちゃんは僕を脅かしたりしないし、逆に守ってくれる様に思えてきました。
今日はポカポカして、とっても気持ちのいいお天気です。
おばあちゃんが、外の椅子で日向ぼっこをしています。
僕は思い切ってくるみの木からおばあちゃんの横を通ってポストまで走りました。
ポストの穴からおばあちゃんを見てみると、嬉しそうに笑っていました。
暫く、こっちを見ていましたが、家の中に入って、何かを持って来ました。そして
「くるみのクッキーはないんだけど、これもおいしいよ・・気に入っ てくれるかな?」
と言いながらポストの上にごまのクッキーを、そっと置いてくれました。
僕は、我慢できなくて、すぐクッキーを取りにポストから出ました。
中に持ち込んで食べてみると、くるみのクッキーと同じくらい美味しかったので、あっという間に食べてしまいました。
外を見ると、おばあちゃんもクッキーを食べていました。
僕に気づいて、食べていたクッキーを差し出しました。
僕はすんごくドキドキしたけど、おばあちゃんの所に行きました。
パッととってすぐポストに戻りましたが、おばあちゃんはにこにこしたままでした。
おばあちゃんとのお話し
おばあちゃんは日向ぼっこする時、いつもクッキーをポケットに入れて来てくれるようになりました。
僕を見ると
「今日もクッキー食べるかい?」
と言いながら、ポケットのクッキーを手のひらに乗せて差し出します。
僕は段々とドキドキしなくなって来て、今ではおばあちゃんの目の前で食べるようになりました。
食べている時、おばあちゃんはずっと僕に話しかけて来ます。
「ぷうりー いつも来てくれてありがとうね、本当にかわいいね。」
「ぷうりー 美味しそうに食べてくれてありがとうねえ 」
「ぷうりー 今日はとってもいいお天気だね~」
僕はモグモグ食べながら、「うん、うん」頷いているつもりですがおばあちゃんが気が付いているかどうか分かりません。
おばあちゃんの家
ある日、おばあちゃんの手からクッキーをもらって、膝の上で食べました。
するとおばあちゃんが、優しく背中や耳の後ろを撫でてくれてとっても気持ち良かったので、食べ終わっても、そのまま膝の上にじっとしていました。
おばあちゃんは歌いながらずっと撫でてくれました。
「かわいい かわいい ぷうりーちゃん♪ ねんねんころり
ねんころり~♪ぷうりーはいい子だ♪ ねんころり♪♪
ねんころり~~♪」
その時、冷たい北風が急に吹いて来ました。
おばあちゃんは僕を抱っこして家の中に入りました。
「怖かったかい?ごめんね。」
と言って僕を窓際の籠にの乗せました。
籠の中には前にもらったのと同じ布団が入っていました。
「寒くなったら、いつでもここに来ていいんだよ。外に出たくなったら、この窓こうやって、つんつんって叩けばいいからね。」
と言いながら窓を指でつつきました。
僕は真似をして前足でまどを叩くと、おばあちゃんは窓を開けてくれました。
「入りたくなったら、外から叩くんだよ。」
と言って、僕を出してくれました。
おばあちゃんと一緒
雪がちらついてきて、そろそろ冬眠しようかなと思ったけど、その前におばあちゃんの家に行ってみました。
家を覗くと、おばあちゃんがいたので、窓を叩いてみました。
直ぐに気が付いて、窓を開けてくれました。
「いらっしゃい ぷうりー よくきてくれたね~ ちょうど、クッキー焼きあがったところだよ。 冷めるまでもうちょっとまってね。」
おばあちゃんはとっても嬉しそうに、にこにこして鼻歌を歌いながら、キッチンに戻りました。
僕はその間家の中を探検してみました。
棚の上や椅子の下、毛糸の入った籠の中、飾りや毛糸をひっくり返したりしたけど、おばあちゃんは笑ってました。
「そろそろ食べれるよ」
と言ってテーブルにクッキーののったお皿を置いてくれたので、パクついていると
「どうだい? 良かったら冬の間ここにいてもいいんだよ。」
それも悪くないかもと思いながら、お腹いっぱいになったので、窓際に置いてある籠の中で眠ってしまいました。
おばあちゃんのベッド
目が覚めると、もう暗くなっていました。
おばあちゃんはいなくて、テーブルには、どんぐりとクッキーののったお皿がありました。
ちょっと食べてから、家の中をまた探検していると、奥のベッドでおばあちゃんが眠っていました。
ベッドに上ると、とってもふわふわしてて、面白かったので、走ったり、転げ回ったりして遊んだけど、おばあちゃんは気が付きませんでした。
隙間から入ると、暖かくておばあちゃんに抱っこされてるみたいでした。
気持ち良くってじっとしているとまた眠ってしまいました。
目が覚めると、空が薄っすら明るくなっていました。
おばあちゃんもすぐに目を覚まして僕を見つけました。
「まあ ぷうりー ここで寝てたのかい? おはよう~」
と言いながら、布団の中に入ったまま、僕の背中や耳の後ろを優しく掻いてくれました。
おばあちゃんとずっと一緒
おばあちゃんが朝食を食べてる時、前で昨日残したどんぐりとクッキーを食べていると、小さく切ったパンをお皿に載せてくれました。
窓の外を見ると、雪が降って来たので、今日もここで、遊ぶことにしました。
僕が気に入ったのは毛糸の入った籠や布の入った籠に潜る事。
出たり入ったりなんかいしても飽きません。
時々おばあちゃんの肩に上ったりします。
おばあちゃんは何もしていない時は僕を膝の上に載せて、背中やお腹をさすったり、あちこち掻いてくれます。
雪はどんどん積もって来ました。
さっきおばあちゃんに窓を開けてもらって、ポストから松ぼっくりを取って来ました。
おばあちゃんも小さな籠にいっぱいどんぐりを入れてくれました。
家の中は薪ストーブでとっても暖かいので、ここに冬の間、ずっといようかなと思っています。
夜、おばあちゃんがベッドに入ると、僕も一緒に布団に潜りました。
おばあちゃんはまた僕を撫でながら、子守唄を歌ってくれました。
僕は暖かさとおばあちゃんの匂いに包まれてすぐにねむりました。
おやすみなさい
これで僕のつぶやきは一旦おしまいです
最後まで聞いてくれてありがとう